論考

規範のリ・デザイン

当然のことですが、組織の課題は容易に解決できないものが残り続け、そうした課題の解決にあたっては、個々人の努力ではなく、チームとしての努力が求められることとなります。しかし、多くの課題解決をテーマとする研修では、この「チームになる」ことの難…

大学で学ぶ意味は見いだせるか?

「大学での授業なんか意味あるん?」 学生の方からよく問われます。自らのする行為に意味があるのかないのか。それは自分が見いだすもので、他人から教えてもらうものではありません。これからの人生に意味があるのかないのか。それは誰にも分かりません。な…

「やる気になる事業仕分け」

(財)京都市ユースサービス協会の企画委員を2006年から務めています。同協会の中長期的な課題について審議し、理事会に報告するというお役目で、多士済々が揃った会議の末席に加えていただいています。毎回の会議では勉強になることも多く、出席したくなる外…

ただよい続けるチカラ。

どう生きるのか。どう働くのか。どう成長していくのか。こうした問いへの答えは、すぐに決められるものではないでしょう。また、すぐに答えを出すべきものでもないでしょう。 しかし、未来の方向性を早くに決めて、その未来に向けて計画的に行動していくこと…

これからの「幸せ」の話をしよう

「幸せのものさし」が、こじんまりなものになっている。 夫がそこそこの収入を稼いで、妻は子どもの成長を楽しみに子育てに精を出し、週末は家族でショッピングモールや市街地をぶらぶらする。そして、自分たちはいわゆる「幸せな家庭」を築いたと思いながら…

「怒り」と「かなしみ」のエネルギー

先日、ユースACTプログラムの長期実践コースがスタートしました。半年間かけて、学校の枠を超えた高校生たちが自らの「まち」への問題意識を探りながら、その問題意識に根ざした企画を立案し、実践していくこととなります。 9月25日のキックオフの場で挨拶を…

無縁社会への「私の対抗」

最近、世間では「単身者」の急増や「無縁死」が、「無縁社会」というキーワードのもとで話題になっていますが、今の血縁や社縁に囚われて「縁」を考えていれば、現代社会においては当然の帰結現象だと思われます。 職場のつながりはともすれば退職によって切…

お師匠さんからの学び

あなたのお師匠さんは誰ですか。 あなたがそう聞かれたら、どう答えますか。 私は学生の頃、お師匠さんが多くいました。ただし、「この人はすごい!」「ここは見習いたい!」と思った方々に勝手に弟子入りして、真似たり、技を盗んだりしていましたので、お…

「語り」のオープン化

チームビルディングのためには「語り」が必要だと、よく言われます。私もよく言います。 メンバーそれぞれが何を目指して、どのような思いをもって、今どのようなことを考えたり、感じたりしながら、活動をしているのか。そうした思いを抱くに至ったのはどう…

プレイフル・ワーキング

この週末は、環境共育事務所カラーズとシチズンシップ共育企画の共催で、『わたしにとって、「働く」って、どういうことだろう〜「自分の仕事」をつくってみる2日間〜』でした。先月に行ったプレトークセッション『ところで、「働く」って、どういうことです…

企画書の「あらさ」と「あささ」

先日、シチズンシップ共育企画のメンバーの書いた企画書を相方と一緒にチェックしていて、企画書の「あらさ」と「あささ」について、話題になりました。 企画をグループ内でもみあっていく段階で求められる企画書は、たとえ言葉は粗削りであっても深みが欲し…

教育を語る言葉の「厚み」

「教育学って美辞麗句ばかりなんですよね。」 高校時代にみたNHK教育のある番組の中で、佐藤学さん(東京大学教授)がそのように仰っておられました。学校教育現場の先生方との対話を重視されながら、日本を代表する教育学者になられた佐藤先生の言葉だけに…

「仕事って何だ?」

今春よりシチズンシップ共育企画は職員を採用したのですが、職員採用は初めてのこと。当然ながら、自社の新規採用職員の研修も初めてのこと。僕と一緒に働くことを決めてくれたことにしっかり報いたいし、他団体の人材育成を支援している身でもあり、研修等…

旧友との「近況報告」のしかた

4月に入った、と思ったら、もう5月。本当に月日の流れる早さに驚きます。こう書くと仕事尽くしのように思われがちですが、毎年4月〜5月といえば、花見やGW(そしてここ数年は結婚式)など、旧友と久々に会う機会に恵まれます。 そうして久々に会ったときに、…

「なんで先生になりたいん?」という問い

教員志望学生や若手教員の方(で特に男性の方)に、「なんで先生になりたいん(なったん)?」と聞いて、「部活の指導したいんすよ」と返ってくることが意外と多く、驚くことがあります。自分も小中高いずれも部活での思い出も多く、貴重な成長機会の一つに…

「やりたいかどうか」から「やる意味が見いだせるかどうか」

学生の間で就職活動に対する危機感は膨らむばかりです。有効求人倍率も下がっており、当然のことではあります。しかし、必要以上に危機感を持っているようにも思えます。様々な機関や人々によって、「煽られている」なぁと思わざるを得ません。その煽りは「…

カタチにする「思い」の勘違い

企画は「思い」をカタチにするもの、と言われますし、僕もそのように説明します。 この「思い」というものには、純粋に「私は〜したい!」だけの個人的な欲求の思いと、「私は○○が△△になって欲しい!(○○が△△になるためのことを私がしたい!)」という利他的…

「存在の受容」と「行動の受容」

「存在を受容すること」と「行動を受容すること」をイコールで結びつけることは良くないことだと、かねがね考えています。 他者の「存在」は、無条件に受容/承認すべきで、そうした関わりが私たちには相互に求められるでしょう。だからといって、他者の「行…

「親切な授業」が学ぶ力を奪う!?

最近、大学の授業はとっても「親切」です。丁寧につくりこまれたスライドやレジュメで講義がされ、あげくの果てに、スライドがそのまま配布されることも多いですね。最低でも高校までは自分でノートに書き写していたような板書内容事項もレジュメで予め学生…

「でも…」のふみこみ

最近、話し合いの場で「批判的なことば」が避けられがちです。場の空気や関係性を壊したくないという思いからでしょうか。「そういう考えもありますね」と相対化することで、波風が立たずに物事が進みます。しかし、それではグループのダイナミズムも起こり…

腰をおちつけて、ゆらぐ/もがく。

先日、ある若者との対話を通じていての思索。「私は何ものか?」「私は何をするために生を受けたのか?」と悩むにあたって、「腰をおちつける」ことができているかどうかが、その行為の深みに違いを生むように思います。 「私は何ものか?」「私は何をするた…

文学的想像力による批判

「50年後にわかるかもしれないことを書けるのは新聞記事ではなく小説でしょうね。」 本日の朝日新聞の「食と農の昭和史」という特集記事の中にあったフレーズです。「確からしさ」を意識すれば社会科学による大胆かつストレートな問題指摘や予見はしにくくな…

国民意識の解体の2つの方向性

今週の甲南女子大学の授業でお招きしたゲストの方の在日外国人支援の活動に関するお話を補足する講義として「アイデンティティ」について、来週話そうかと思っていたら、書店でC・ダグラス・スミス/姜尚中/萱野稔人『国家とアイデンティティを問う』(岩波…

承認を安売りしてはいけない。

ボランティアでがんばっていると、社会の中で<承認>を得やすい。「ボランティアしてるんだ、すごいねぇ〜」と何度となく自分も言われてきた。しかし、ボランティアをしているというのは、ある一つの「行為」に過ぎない。それは「部活している」とか「バイ…

指摘/指導も成長には必要、だろう。

先日、大学の授業終了後、自分の出席回数を教えて欲しいと受講生に聞かれました。「自分の出席回数が自分で分からないの?」と聴いたら、「わかんない」とのお返事。「もう大学生なんやから、自分のことは自己管理できるようにならないと。本当にわかんない…

サービスの「先」にあるもの

兵庫県内の若手NPOワーカー(U40)の緩やかなネットワーク組織「ひょうごNPOユース」は隔月で勉強会を開いていますが、年に一回はしっかり学ぶ場を持つ、ということで、合宿を新春に行います。 で、2010年1月10日(日)〜11日(月)の合宿の企画担当を自分が…

価値観に気づく、価値観を築く

とってもご無沙汰の更新となってしまいました。オン/オフともに、盛りだくさんな11月を過ごしております。最近、「タイムマネジメント」をテーマとした研修の担当が続いていますが、本当に一日何時間あっても足りないなぁと痛感する毎日です。ちなみに、そ…

小学校で「学ぶ」ことを学ぶ

先日、ユースACTプログラムの企画で、野池さん(きょうとNPOセンター)と「自分が受けた小学校教育」について対談しました。野池さんと私は違う小学校に通っていましたが、その教育のコンセプトは「総合学習」で共通。 これまでも、シチズンシップ共育企画の…

それでも、僕は想像力に期待する。

「体験してみないとわかんないですよね。」 体験学習(経験学習)の重要性をよく話していると、そんな言葉をお返しいただくことがあります。確かに「体」を通して理解したことは「身につく」ことも多いでしょう。身体化もされていきます。 しかし、体験しな…

ことばの貧困/追求の貧困

「まじ、ヤバいっす、これ!」「ほんまや、ヤバいわ〜」 「キレイやねぇ。」「うん、キレイキレイ。」 「なんか、イヤやなぁ」「ふーん、イヤなんやぁ。」 こうした会話はよく聞かれるものでしょう。僕もそういうやりとりをしていることがあります。しかし、…