論考

非日常の中で回復する感性

今年はしっかりと夏期休暇をいただき、うちの鈴木くんと沖縄に行ってきました。沖縄に行くこと19回目で、まちなか研究所わくわくが関係している地元商店街の人には、沖縄在住の人間と勘違いされていたりしました。ある意味では「里帰り」の感覚に近いかもし…

「学び」とは?

というタイトルで、100字のコメントを寄せてほしい!とシチズンシップ共育企画のメンバーに頼まれて執筆。でも、100字というのが、何とも微妙なボリュームで200字になってしまいました。 学ぶとは、「わたし」が主語である。「問い」を温めることである。「…

なぜ高校生に市民教育なのか?

「なぜ高校生なんですか?社会活動は大学に入ってからででも十分でしょう。市民教育の必要性は分かりますが、高校の頃はまず受験勉強させないとねぇ…。」 学校の先生方などに、シティズンシップ教育の必要性や動向をお話した上で、シチズンシップ共育企画が…

「情報」という言葉

自分がオブザーバーでお招きをいただいた、ある若者の成長支援を考えるワークショップで「情報提供」という言葉がキーワードの一つになりました。ぱっと聞くと全うな意見のようですが、あまりにも皆さんが「情報がないない…」というのが僕には少し不思議な感…

死の物語をどう紡ぐか?

應典院で行われた、大蓮寺・エンディングを考える市民の会主催の夏のエンディングセミナー「"みとりびと"は語る」の第一回目に足を運んできました。今回の「みとりびと」は、公益社執行役員の廣江さんがゲスト。 現場の最前線でエンディングワークに取り組む…

「センスの共同化」とアート

先日、シチズンシップ共育企画のメンバー2人と一緒に兵庫県立美術館の『20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代」展』に行ってきました。ピカソもクレーも僕が好きなアーティストなんですが、その二人の作品をはじめ、貴重なものがドイツから来ている…

1961年に描かれた21世紀社会

現在、このブログでもお知らせした「若者が描く未来社会のグランドデザイン」というソーシャルデザインに関する主催ワークショップの準備を進めています(まだ参加者募集中です!)。 その中で、朝日新聞1961年1月1日に掲載された「これからの世界」というタ…

「共有」という言葉の多さ

先日、美作大学で「ボランティア論(福祉系)」という集中講義の科目の非常勤講師を担当しました。受講生160名超というかなり大所帯なグループではあったのですが、せっかく2日間で集中的に授業ができるので、ワークショップ的な授業にして、その大半をグル…

まちづくりワークショップと「学び」

まちづくりワークショップをするときに、まちづくりワークショップもまた「学び」の場としての側面も大きいなと思います。 まちづくりワークショップで、公園デザインを例に考えてみます。そうすると、みんなが私見を実生活と照らしながら、どんな公園が欲し…

よい企画は、思いの強度の鍛錬から。

企画(活動)をしようと動き出す時には、大きく2つのパターンがあるように思います。 一つは、「おもしろそう!」だからやろうという、内発的な自発性に基づくものです。もう一つは、何かの問題と出会って「ほっとかれへん!」と灯が灯され、やらなアカンと…

理由は「あと」で見える

僕が仕事をする上で、意識していることの一つに「頼まれた仕事を極力断らない」というものがあります。もちろん、物理的に無理なものはお断りするのですが、そうでなければ、出来る限り向き合います。 頼まれた時には「なんで僕に?」と思うものもあります。…

国立大学への進学=親孝行への疑問。

「うちの子、国立大学に入学したんですよ。親孝行してくれたわ。」 この時期、色々なところで聞くフレーズです。このフレーズに僕は違和感を持っています。確かに、学費の安い国立大学に通うことは、「安上がり」という意味で経済的な親孝行であることは間違…

Be TARO !

先日、シチズンシップ共育企画の学生ボランティアの卒業記念パーティーが行われました。朝からは、卒業生のみならず、メンバー有志で卒業論文/修士論文に関連する研究発表会も行われ、オンオフ入り交じった送別の時でした。 そのパーティーの席上、代表とし…

市民教育もまちづくりだ。

シチズンシップ共育企画がしている市民教育の活動は、まちを担う人が育つ機会の提供ですが、それは大きな眼で見れば「まちづくり」と言えるでしょう。 これまでの地域社会では、まちの「お祭り」などの様々な儀式、「青年団」や「若衆」などの場や、日常的な…

起業家ばかりでどうする!?

最近、ちょっと気になっていることがあります。社会起業家(志望)を名乗られる若者が増えたなぁということです。 同じ若者で、同じように市民セクターから社会をよりよくしていこうという仲間が増えることは確かに喜ばしいことではあります。しかし、どこか…

シティズンシップ教育はどこで実践的な学びを展開するか?

大阪教育大学で行われたシンポジウム「シティズンシップ教育とその展望」を聴講してきました。 基調講演の講師に、ドイツ国際教育研究所のDr. Abs, Hermann Josef氏を迎え、EUにおけるシティズンシップ教育の現状を踏まえながらの議論が展開されました。その…

触媒としての知識/材料としての知識

先日、市民活動の大先輩の方のお話をお伺いしていて、ふと思ったことがあります。 オリジナリティがあり、鋭く尖ったメッセージ性のある議論を展開をされる方は、非常に幅広い分野の知を総動員しつつも、それを単なる「材料」とするのではなく「触媒」として…

聖書を読むとはどういうことか?

ふと「聖書」を読む意味について、思いを馳せてみました。 キリスト教は神さまと「対話」する宗教だと言われています。非常に大雑把な議論ですが、「祈り」は、単純な現世利益を一方的に求める「お願い」ではなく、神さまに向かって私が何をすべきかを問いか…

シチズンシップ共育企画のミッション

先日、新しい学生スタッフが、シチズンシップ共育企画に加わりました。そこで、久々にオリエンテーションを行ったのですが、そこで行ったシチズンシップ共育企画のミッション等の解説を、ここに転載しておきます。ユース・ボランティアは随時受付中です。ご…

「行動を動かす気持ちに関わる」ほか

今日は、こどもの城(児童育成協会)主催「地域における中高生活動ファシリテーター講習会 in 京都」のワークショップのファシリテーターとして、お仕事して参りました。 その席上、教育ファシリテーションの小話として、以下の2つのトピックに触れました。…

仲間になるために払う「参加費」

昨日・今日と兵庫県下のNPOで働いている(働く予定である)若者が集う場がもたれました。代表・事務局長クラスは、いろんな会議でお互いに顔を合わせるものですが、なかなかスタッフレベルとお会いするのは珍しいことで、僕自身、初めてお目にかかる方が多く…

ためらいのセンス

即決・即断・即行・即効…とスピーディーであること、効率的であることが称揚される昨今ですが、そうした傾向に対する違和感を最近抱いています。 現実社会は複雑で多様であり、AかBか、白か黒かと「すぐに」結論を出すことは難しいのではないでしょうか。現…

なぜボランティアか?

「なぜボランティアか?」という問いかけは、ボランティアを受入れる組織が最初に答えを明確にするべき問いだと言われています。この問いに答える時、お金がないから…、人手が足りないから…といった消極的理由ではない、積極的理由が求められます。 それは至…

わたしの「光」に気づくクリスマス

今月もまた、ドタバタライフで投稿が少なくなってしまい、申し訳ありません。先月担当した景観ワークショップの際に論じた「3つの景観」論や、現在、企画委員としてコミットしている財団法人京都市ユースサービス協会が今年で20周年を迎え、そのことを記念し…

「思わぬ出会い」と「予測不可能の語り」

いまの時代を生き抜く上で本当に考え抜くべきであろうテーマのシンポジウム『「コミュニケーションと<痛み>」〜他者と出会い・つながる知恵を求めて』(主催:應典院寺町倶楽部)のご案内をいただきました。 分かり合いやすい仲間同士で、分かり合いやすい…

<おおやけ>の字引き、<わたくし>の字引き

字引きには、<おおやけ>の字引きと、<わたくし>の字引きの二種類があると思う。<おおやけ>の字引きとは、みんなが言葉をどう使うかについての道しるべであり、<わたくし>の字引きとは、自分が言葉をどう使うかについての道しるべである。(鶴見俊輔…

就職活動する若者へ。

非常勤講師でいくつかの科目を担当している大学の学生さんから「今の若い人(学生)の職業選びをどう思いますか?」との質問をいただき、お答えしました。 正直、みんなよく悩んでいるし、就職活動もとっても「マジメ」に取り組んでいると思います。とても早…

大学のNPOインターンシップの課題のいくつか

先日ある大学関係者とNPOインターンシップのことで意見交換を行ったのですが、そのひとつの話題は、企業へのインターンシップとNPOへのインターンシップでは、事前学習の内容が同じでよいのか?というもの。 僕の考えは、異なるべきではないかというものです…

「まちがい主義」

土曜日に、神戸で地域団体とNPOの協働のあり方について、地域団体・NPO・行政の協働で考える全市的なフォーラムがありました。昨年度から受託している神戸市役所(協働と参画のプラットホーム)からの委託業務の一環で、15名強の円卓会議(地域団体・NPO・社…

「いまここ」を大切にして場を組み立てる。

「落語というのは人間の業の肯定である」という定義を語る立川談志を師匠に持つ立川志の輔は、NHK『ためしてガッテン』の司会などでもおなじみの人気落語家。その志の輔のインタビュー記事がJALの機内誌『スカイワード』(2008年10月号)に掲載されていまし…