無縁社会への「私の対抗」

 最近、世間では「単身者」の急増や「無縁死」が、「無縁社会」というキーワードのもとで話題になっていますが、今の血縁や社縁に囚われて「縁」を考えていれば、現代社会においては当然の帰結現象だと思われます。

 職場のつながりはともすれば退職によって切れてしまい、親族のつながりも地域を離れて暮らせば薄まってしまい、例えパートナーを有していても死別すれば、結局のところ「ひとり(無縁化)」となります。友人関係やサークル関係、ボランティア活動での関係など、地縁や選択縁も含めた、複数の縁をつくり・育む動きをとっていなければ、無縁化からは免れ得ないでしょう。

 そう考えれば、地域社会や自らの生活の中にいかに複層的に「家族『的』なつながり」を有していくか、そのことが「無縁社会」への「私の対抗」となるのではないでしょうか。(中には働く中でうまく結びつけている人もいますね) 

 2007年から年一回、シチズンシップ共育企画が、大蓮寺・應典院・青木将幸ファシリテーター事務所と共催して取り組んでいる「生と死の共育ワークショップ」、今年は看取りの場における「無縁化」への問題意識も背景に「看取りと『縁』」をテーマに実施します(10月16日〜17日に実施/募集開始!こちらをご覧ください)。

 「死」がキーワードの一つとなる学びの場は、参加のハードルが高く思われることでしょう。しかし、「生と死の共育ワークショップ」の企画実施にあたっては、まずは「未熟な」語りであっても、自らの「死にざま」から「生きざま」を考える場を創りたい、そのような思いで取り組んでいます。

 私自身もそうでしたが、現代の若者にとっては、学校教育の中でも、地域・家庭教育の中でも「死」というものが日常世界から遠ざかり、「死ぬ」というところから「生きる」を見つめる経験は非常に乏しいものとなってきています。自分は親族の看取り/死と向き合った時に戸惑い、そのことに気づかされたのでした。ですから、「いざ」という時に備えてということで、「初心者」の参加も心から歓迎したいと思います。

 「無縁社会」と「私の生」をつなぎあわせて考えてみる時間、共に過ごしませんか。