「でも…」のふみこみ

 最近、話し合いの場で「批判的なことば」が避けられがちです。場の空気や関係性を壊したくないという思いからでしょうか。「そういう考えもありますね」と相対化することで、波風が立たずに物事が進みます。しかし、それではグループのダイナミズムも起こりにくく、考えのすり合せは表面的になりがちです。



 コンセンサスをつくるための相互理解を深めるためには、時に「でも…」と疑問を投げかけたり、異なる視点からの批判をする、そうした「ふみこみ」も必要でしょう。



 昨年、自分の考えに対して、「でも…」とふみこんでくれた学生がいました。嬉しい出来事でした。「でも」の一言は、自己の内省を促し、また、発した他者の感性と思考に一歩深く触れる機会になったからです。



 「違うなぁ」と思った時、そのように「でも…」とふみこむ。そうすると深いやり取りに展開する可能性があります。虎穴に入らずんば虎児を得ず、ということでしょう。



 安心して「ふみこめあえる」対話を通じた学びと協働の場づくりを2010年も目指します。よろしくお願いいたします。



*2010年の年賀状に書いたメッセージより