規範のリ・デザイン

 当然のことですが、組織の課題は容易に解決できないものが残り続け、そうした課題の解決にあたっては、個々人の努力ではなく、チームとしての努力が求められることとなります。しかし、多くの課題解決をテーマとする研修では、この「チームになる」ことの難しさに直面されている方々が少なくありません。

 では、「チームになる」とは、どういうことなのでしょうか。PM理論(三隅二不二)を援用すれば、チームメイトとしての意識を分かちもち、チームの課題の解決に積極的に/協力的に取り組んでいく、そのような状態と言えるでしょう。この際、それぞれの考えていることや感じていることを自由にコミュニケーションできる「オープンな関係性」をメンバーの間に成立させることが、相互理解/相互協力に求められます。

 この「オープンな関係性」が実現するには、コミュニケーションを図っていく上での懸念が払拭される「集団規範」を形成し、試行錯誤や新たなチャレンジに取り組めたり、しっかりと話し合える「ゆとり」を組織的に設けていくことが重要でしょう。

 このいずれも一介のメンバーだけではなく、グループのリーダーの援助と協働なくしては、実現は困難でしょう。特に、一度出来上がってしまった規範をリ・デザインするためには、集団で大きな影響力を持つ存在の働きかけが鍵を握ることは少なくありません。グループのリーダーには、難しい組織課題の解決にあたっているメンバーを励ますだけではなく、共にチームづくりを進めることが求められます。

 メンバー一人ひとりが自らの賜物に気づいて、チームの中でのリーダーシップを発揮し、支え合いながら「高み」を実現していく。そのために必要な環境整備の責任がリーダーにあるということ、自戒も込めつつ、改めて確認したい。そう思う最近です。