シチズンシップ共育企画のミッション

 先日、新しい学生スタッフが、シチズンシップ共育企画に加わりました。そこで、久々にオリエンテーションを行ったのですが、そこで行ったシチズンシップ共育企画のミッション等の解説を、ここに転載しておきます。ユース・ボランティアは随時受付中です。ご希望の方は、ぜひご連絡ください。



シチズンシップ共育企画のミッション

 一言で言えば、「Active Citizen(行動する市民)の育成」となります。民主主義を支える市民は、一方的に要望したり批判したりするだけではなく、ましてや選挙の時だけ考えて、後は傍観するような市民ではなく、自らが主体的に「社会づくり」に参加していく市民です。



 そうした参加型の民主主義の実現のためには、次の2つが必要だと考えています。



 まず、もっと参加する市民が多く必要でしょう。特に若者の参加はまだまだ少数。市民としての意識や態度を育む「市民教育」が行われるべきでしょう。未来社会の行く末が議論される場において、未来社会を担う当事者たる若者のプレゼンスが低いことも課題ですが、若者の考えがカタチになっておらず、多世代に届いていないこともまた、そのことに拍車をかけています。シチズンシップ共育企画は、こうした課題意識から、若者に潜在している力を引き出し、社会の推進力にしていくためのユースワークに取り組みます。



 次に、もっと市民活動はソーシャルインパクトを生む必要があるでしょう。社会をこうしたい!という「思い」はあっても、それが「カタチ」となり、ソーシャルインパクトを生まなければ、意味をなしません。ですから、「ええこと」を「うまくやる」ための、市民としての行動力を高める「マネジメント研修」が行われるべきでしょう。シチズンシップ共育企画は、こうした課題意識から、市民活動に取り組んでいる人々へのマネジメント支援に取り組みます。



 社会をよくしたい!という「思い」を育む市民教育と、そうした思いを「カタチ」にする力をつけるマネジメント研修の2つの事業を柱として活動に取り組み、われわれが「市民の社会的責任」(Citizen Social Responsibility:もう一つのCSR)を果たせる存在となっていけるようにしていきます。



 「市民の社会的責任」を責任を果たしていくために市民が踏むステップを、シチズンシップ共育企画では、4つのステップ(社会の問題にきづく/自分の問題関心の軸に気づく、自分の問題関心を分かち合う、具体的な活動をつくり動き出す、動きを成長させる)としており、この4つのステップを踏むために求められる技能を、4つの市民力(コミュニケーション力、問題発見力、協議力、マネジメント力)と整理しています。



コーポレート・アイデンティティ(C.I.)

 シチズンシップ共育企画のC.I.は、『「じぶん」になる、「しみん」になる。』となっています。これは言い換えれば、「自分を幸せに生きて、社会も幸せにする。」ということになります。



 シチズンシップ共育企画の市民教育を通じて、滅私奉公的な市民が育つのではなく、自分らしく生きながら、社会に関わる人間が育って欲しいと考えています。そうした、「じぶん」教育もまた、重要な視点であり、「じぶん」教育のプログラムとして、精神的成長をもたらす「生と死の共育ワークショップ」を行っています。



教育を変えていく2つのアプローチ

 シチズンシップ共育企画では、日本における市民教育の発展のために2つのアプローチで、教育の変革に取り組んでいます。



 まず、高校生に直接支援する試みにチャレンジしています。具体的には、「STEP」や「ユースACTプログラム」などを通じて取り組んでいます。そうした「とんがった」モデルプログラムを開発し、社会発信しながら、既存の教育(従事者)へオルタナティブを提案していきます。



 次に、既存の教育従事者を変える試みにチャレンジしています。飼い馴らす教育ではなく、主体性を育み、人間性を解放していく教育へ。学ぶ意味や楽しさを見失っていく教育ではなく、学ぶ意味や楽しさを見いだしていく教育へ。こうした転化をもたらすツールとして、ワークショップやファシリテーションNPOとの教育協働を普及していきます。具体的には、「教育ファシリテーター講座」や「骨太教員プロジェクト」、「ERC(教育リソースセンター)」などを通じて取り組んでいます。そうした教員養成や教育技術の新しい姿を発信し、既存の教育をめぐる「しくみ」に対してもオルタナティブを提案していきます。



 私たちの目標は、まさしく、この国の政治文化を国全体においても地方においても変えることである。人々が自分たちのことを、公共生活に影響を及ぼそうとする意志を持ち、その能力を有し、またその技能を備え、発言したり行為したりする前に事実にもとづいて熟考する批判的能力を備えた、積極的な市民であると考えること。コミュニティへの関わりと公共奉仕活動のこれまでの伝統の中で最良のものを基盤として、それを徹底して若者へと広げてゆくこと、そして若者一人ひとりがコミュニティへの新たな関わり方を大胆に発見し、自分たち自身で行動してゆくようにすること。(バーナード・クリック(2004)『デモクラシー』岩波書店、p.198)