市民教育もまちづくりだ。

 シチズンシップ共育企画がしている市民教育の活動は、まちを担う人が育つ機会の提供ですが、それは大きな眼で見れば「まちづくり」と言えるでしょう。



 これまでの地域社会では、まちの「お祭り」などの様々な儀式、「青年団」や「若衆」などの場や、日常的なコミュニケーションの中で、自ずと地域社会の一員としての自覚や自信が形成されてきたわけですが、その方法(ソフト)は失効していっています。



 そこで、新しい方法(ソフト)が模索されています。「ユースACT(Active Citizenship Training)プログラム」や「STEP(Social, Try, Encounter and Empowerment Project)」などシチズンシップ共育企画もしかけている幾つかの市民教育の取り組みは、その一つだと言えるでしょう。



 また、行政の公共で果たす役割の縮小化の中で(公共が市民にも拓かれていっている中で)、市民が向き合うべき/向き合える課題は、地域を越えた「社会」全般にまで、大きく広がっていっています。



 「地元」はもちろん、はばひろく「社会」の問題に関心をもち、自分で解決を担っていく市民を育てるためには、過去に存在し、今や失効していっている、地域社会での担い手育成の単なる「修復」ではなく、新しい観点が必要です。



 そこにユースACTプログラムのような小学校区単位の小地域をこえた活動の意味があります。



 とはいえ、いきなり大きな問題に挑戦しても「できない」感しか育みません。自分でもできるかもしれない、その「手応え」感が味わえる、ほどよい「広さ」や「深さ」での活動が「はじめの一歩」には良いでしょう。だからこそ、高校生対象のユースACTプログラムでは「京都」という地域をどこかで見据えるようにしています。



 年齢と経験を重ねるうちに、少しずつ「まち」の範囲が広がればと願っています。「まち」の概念は伸縮自在であることが非常におもしろいところです。そこを厳密に定義しないこと、使用者が自由に操作できる概念であること、それをうまく利用していきたいものです。



 ひとが育つ、関わりが育まれる、まちが育つ。つながっています。