よい企画は、思いの強度の鍛錬から。

 企画(活動)をしようと動き出す時には、大きく2つのパターンがあるように思います。



 一つは、「おもしろそう!」だからやろうという、内発的な自発性に基づくものです。もう一つは、何かの問題と出会って「ほっとかれへん!」と灯が灯され、やらなアカンと強く思う、受動的な(触発された)自発性に基づくものです。受動/能動は反対語のようですが、「突き動かされる」という言葉にあるように、受動的な能動性の発揮ということがあります。

 

 一見すると、内発的な自発性の方が、「わたし」発の純度が高そうで、良いように思うかもしれませんが、この「おもしろそう」発というのが、ややくせ者です。心が折れやすいのが難点で、「おもしろくなさそう」と感じたらだったらやらなくなることもありますし、「もっとおもしろそう」なものが眼前に出てきたら、浮気しがちです。また、「おもしろい」の範囲で縮こまって、困難を回避することもあります。もちろん、「おもしろそう!」という感覚ゼロでも(乗り気になれず)失速するわけで、「おもしろそう」発そのものがダメというわけではありません。



 触発された自発性に見られる、「やらなアカンのや!」というような「思いの強度」が強いものは、誰が何と言おうとも、何とか実現しようとするし、そのための試行錯誤を惜しまないでしょう。壁にぶちあたった時に、できない言い訳を探してしまうのは、「思いの強度」が足りないからに他なりません。「思いの強度」の強い企画は大輪の花を咲かせます。



 毎年、研修や助成金の審査会などで、多くの企画のプレゼンを聴く機会に恵まれますが、どっちが迫力あって、それこそ「僕も応援せなアカンな〜」と思わされるかと言えば、触発された自発性に基づくものが、圧倒的に多いです。僕もまた触発されるのです。



 では、「思いの強度」を強めるにはどうしたらよいのでしょうか?



 先月、地域環境デザイン研究所ecotoneと共催した、市民活動の情報発進力向上講座「+メディア〜思いを届けるための3つのチェンジ」で、ゲストにお越しいただいた永田宏和さん(プラスアーツ)は、「徹底したリサーチ」をその方法として提示されました。



 自分が向き合うテーマや課題について(それが与えられたものであっても)、フィールドワークをしたり、ヒアリングをしたり、既存の取り組みを調べたり、試行実践して仮説検証したり、統計データをたぐってくなど、「リサーチ」を徹底的にしていけば、どこかで「もっとこういうことせなアカンのちゃうかな?」という違和感が姿を現します。それが「ニーズとの出会い」。自分で発見した、出会ったニーズは、「自分のもの」として消化されます。



 「思いの強度」が単なる「思い込みの強度」を強くすることにならないようにするためにも、リサーチは大事。常に思考は外に開かれていなければなりません。



 これからの企画講座では、もっとリサーチの視点を鍛える内容を加味していかないとなぁと最近、思っています。