書籍紹介

百年の愚行

非常勤で教えにいっている大阪樟蔭女子大学の図書館は隔年で「先生の薦める一冊」という冊子をまとめているのですが、今回もご依頼がありましたので、私からは、Think the Earthプロジェクト『百年の愚行』(紀伊國屋書店、2002年)を以下の推薦文で取り上げ…

「生の美学」のために

非常勤で教えにいっている大阪樟蔭女子大学の図書館から、学生に読書を勧めるため「私のすすめる一冊」を示して欲しいと依頼があり、内山節さんの『哲学の冒険』(平凡社ライブラリー、1999年)を以下の推薦文でご紹介。 - みんなは、自分がどのように生きる…

『流学日記』

仕事柄、一年間で非常に多くの人と各地で出会います。その一つひとつの出会いからいただくものが積み重なって「いまの私」があります。そうした出会いの日々の中で、本当にビビビっとくる、心が動く出会いを先月いくつか与えられました。 ワークショップでご…

映画「おくりびと」

土曜日にかねてより「観たい!」と思っていた、映画「おくりびと」(滝田洋二郎監督)を鑑賞しました。これはもう素晴らしい名作です。非常におすすめの作品ですので、ご紹介。 ご遺体を棺におさめる「納棺師」をとりあげた作品ですから、「お葬式」をテーマ…

鶴見俊輔『悼詞』からいただくもの

毎週、いや毎日という時もありますが、わが家には多くの本が届きます。 もちろん、すべて自分で頼んだもので、いずれも読みたいと思ったものです。ですが、なかなか仕事に手をとられて、積読状態になっている本が数十冊とあります。いやもう100冊を超えてい…

青春的な老成

僕が長らく言われ続けていること、絶対に初対面の方と話題になること、そして、困った時の「オチ」になること、と言えば、僕が老けていることですね。 15歳の時は20歳に間違われ、18歳の時には25歳に間違われ、ここ数年は30歳オーバーに間違われています(実…

修復的正義の実践ガイド

「もし私たちが今日の司法制度を推進している次の三つの質問にとらわれ続けるのなら、正義はもたらすことができない、どの法律が犯されたか?誰が犯したのか?犯したものへの懲罰は何か? 真の正義は代わりに次の質問を必要とする。誰が傷つき、被害をこうむ…

調査されるという迷惑

「調査というものは地元のためにはならないで、かえって中央の力を少しずつ強めていく作用をしている場合が多く、しかも地元民の人のよさを利用して略奪するものが意外なほど多い。」(宮本常一「調査地被害−される側のさまざまな迷惑」、宮本常一・安溪遊地…

たましいの育つ歩み

僕の母校・関西学院は1889年9月28日に創立されましたので、今日で創立118周年となります。何度もこのブログで書いていることですが、今になって思えば、自分という人間が形成される上で、関西学院に学んだということは、非常に大きかったと感じています。 大…

「海ゴミ」

今週末は岡山出張ということで、出張のお供に新書を一冊購入して、往復の車中でざくざくっと読みました。今回のお供は、小島あずさ・眞淳平『海ゴミ−拡大する地球環境汚染』(中公新書、2007年)。 小島さんとは、1〜2回、NPOの関係者が集まる席でお話したこ…

『初年次教育ハンドブック』

出張の移動中に、一冊、最近購入した本を読了。大学コンソーシアム京都にいたことで、ぐぐっと関心が高まったテーマが「高等教育のあり方」ですが、今回読んだのもその文脈の専門書。最近、高等教育関係者の中で非常によく話題にあがる「初年次教育」のテキ…

最近読んだ3冊から

最近読んだ3冊の本の中から一節か二節ずつ、引用してみましょう。最初にあげるのは、久々に読んだハーバーマスの論文から。 先に「統合的な紐帯」がないと嘆かれていたが、そうした「統合的紐帯」はまさにデモクラシーのプロセスそのものなのである。つまり…

ワークショップの名記録!

ワークショップの記録は難しい。単純にいつ、誰が、どういうことをしたのか(どんな指示を出したとか小講義をしたとか)、それを書く記録は簡単です。 ワークショップの記録が難しいのは、2つの理由からです。個人ワークにせよ、グループワークにせよ、その…

断絶の時代

ここ数日は移動中に、P.F.ドラッカー『断絶の時代−いま起こっていることの本質[新版]』(ダイヤモンド社、1999年)を読んでいたのですが、この日に読了。 多くの方が書評でかかれていますが、今読んでもなお新鮮で、本当に原著が1968年に書かれたとは到底…

「夜と霧」

1月・2月は、おかげさまで講座のお仕事が多いのですが、移動時間中に何をするのか、というのが、問題になります。 過去にこのブログでもこのネタについては書いたことがありますが(たぶん)、「仕事をしよう!」と勢い込んでパソコンを立ち上げつつも「うと…

10日間の読書

1月は忙しい。2月はもっと忙しくなる。3月は想像できない。…多くの方がそうなる季節です。こういう季節、「逃避行動」もまた増えるものです。 というわけで、私もこの10日間、日々の「逃避行動」の積み重ねで以下の本を読みました。最近は死生学がマイブーム…

ファシリテーション・グラフィック

ファシリテーターの仕事をしている身ですが、まだまだ不得意なのが、ファシリテーション・グラフィック。この世界の第一人者・志賀さん説明によれば、「プロセス(進行)を管理し、コンテンツ(内容)を記録する」ものです(下記文献より引用)。簡単に言え…

図書購入記録(5)

●三浦耕吉郎編(2006)『構造的差別のソシオグラフィ−社会を書く/差別を解く』世界思想社 ●ジェラード・ランディ(2006)『コミュニティ−グローバル化と社会理論の変容』NTT出版 ●ベルナール・スティグレール(2006)『象徴の貧困−1.ハイパーインダストリアル時代…

図書購入記録(4)−『気候変動+2℃』

●山本良一・Think the Earth Project編 (2006) 『気候変動+2℃』ダイヤモンド社 ここ数年、台風も多いし、何かと自然災害が多いぁ…と感じてません? 気候が変動していっている、と書くと、えらく大層ですが、僕らはその変動を生活の中で実感しています。 こ…

図書購入記録(3)

●アメリア・アレナス(1998)『なぜ、これがアートなの?』淡交社 ●三井秀樹(1996)『美の構成学−バウハウスからフラクタルまで』中公新書 ●高階秀禰監修(2002)『カラー版 西洋美術史[増補新版]』美術出版社 今回の購入した書籍は全て上田に薦められたもので…

『BUSINESS AS UNUSUAL』

社会的起業とかCSRとか、すっかり時代のキーワードになっていますが、そうした言葉の意味を本当の意味で具現化し続けてきてているのが、アニータ・ロディックでしょう。 アニータは「ザ・ボディショップ」の創業者。ボディショップのオリジナリティは、企業…

図書購入記録2

●山之内靖著/伊豫谷登士翁・成田龍一編(2004)『再魔術化する世界−総力戦・<帝国>・グローバリゼーション』御茶の水書房 ●佐藤卓(2002-2003)『デザインの解剖(1)-(4)』美術出版社 2004年に聞いたときはピンとこなかった「再魔術化」というキーワードは、…

図書購入記録1

先日、某国立大学のドクターコースに進学することになった友人より、僕が購入した本のリストをウェブにアップして欲しいというご要望をいただきました。というわけで、それに応える形で、今日から購入した本を紹介していくことにしました。 ●本田由紀(2005…

『ことばは届くか』

最近、上野千鶴子・趙韓惠浄(佐々木典子・金賛鎬訳)『ことばは届くか−韓日フェミニスト往復書簡』(岩波書店、2004年)を読了いたしました。非常に刺激的な一冊でした。 サブタイトルの通り、二人のフェミニストの「気まま」な、それでいて「思索深遠」な…

シチズン・リテラシー

鈴木崇弘ほか編著『シチズン・リテラシー−社会をよりよくするために私たちができること』教育出版、2005年 本日、この本をシティズンシップ教育推進ネットの大久保さんからご進呈いただきました。大久保さんが分担執筆されていることもありますが、出版元に…

なはまちつくる議会報告書

昨日、沖縄の親友・レオから、彼がプロデュースした取り組み「なはまちつくる議会」の報告書をいただきました。「僕らのマニフェスト なはまちつくる宣言−僕らが望む10年後の未来なはに向けて−」です。 10年後の那覇の町に「の こしておきたいもの」と「なく…