百年の愚行


 非常勤で教えにいっている大阪樟蔭女子大学の図書館は隔年で「先生の薦める一冊」という冊子をまとめているのですが、今回もご依頼がありましたので、私からは、Think the Earthプロジェクト『百年の愚行』(紀伊國屋書店、2002年)を以下の推薦文で取り上げました。

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 20世紀の100年間、私たち人類は様々な愚行を重ねてきた。本書は、その愚行を100枚の写真で示している。
 私たちは同書が示す「人間の愚かさ」とまっすぐに向き合わなければならない。「見たくない現実」を直視するには、勇気がいる。気持ちのよいことでは、決してない。寧ろ、辛さや痛みを伴う。
 しかし、21世紀社会で「百年の愚行」を繰り返さないためには、「人間の愚かさ」の結果を知り、原因を探究する反省の営みが求められる。このプロセスを経て初めて、私たちは20世紀の延長線上ではない「新しい社会」を考えるスタートラインに立てる。
 安易に「希望」を語ってはいけない。「愚かさ」と向き合った一人ひとりの気づきを立脚点として、丁寧に「希望」を浮かび上がらせたい。