断絶の時代

danzetsu.jpg ここ数日は移動中に、P.F.ドラッカー断絶の時代−いま起こっていることの本質[新版]』(ダイヤモンド社、1999年)を読んでいたのですが、この日に読了。



 多くの方が書評でかかれていますが、今読んでもなお新鮮で、本当に原著が1968年に書かれたとは到底思えない一冊です。ドラッカーは「バックトレンド」を読みとっていると教えてもらったことがありますが、まさにそのことを実感できる本です。CSRのあり方についてまで記述がされているんですから。



 産業界も政府も、考え方、方針、組織のすべてにおいて、明日を優先しなければならない。継続の時代においては、昨日の持続の上に明日があることを期待しえた。昨日の強化が、明日の強化でありえた。しかし、変化の時代、とくに新産業が主役として次々と登場する急速な技術変化の時代にあっては、昨日の強化は明日の弱体化をもたらすだけである。(同書、p.69)



 と同書はイノベーションの重要性を指摘し、「新しいもの、違うものを創造する能力」(p.40)としての起業家精神が我々に求められている時代であることを提起しています。



 この提起は、自戒を常にするためにも忘れてはならないところでしょう。やはり、今がそれなりにうまくいっていれば、それを継続発展させようと、「昨日の強化」に取り組みがちです。しかし、それに甘んじず、時代を読まないといけないのですよね。難しいけど、これだけ激動の時代であれば、納得はします。



 「明日を優先」できているのか、シチズンシップ共育企画の事業計画を見ながら、考えさせられました。動いてみて、書き直すくらいのスタンスで挑まないと、ダメでしょうね。



 ちなみに、同書では「学ぶことができるのは、学ぶ者自身である。教師ではない。教師にできることは、学ぶことの助けとなるか、障害となるかだけである。」(p.371)とも記されています。最近、仕事でファシリテーションのあり方についてお話することが続いたのですが(詳しくはシチズンシップ共育企画のサイト参照)、ファシリテーターもまた、この言葉にある教師と同じです。場へのあり方や、方法の選択ミスなどで、学びの障害になることだって、当然あります。その辺の見極めは容易なことではありませんすが、よくよく留意したいところです。



 ファシリテーターブームではありますが、「よいファシリテーション」がきちんと普及されるよう、私も業界人の一人として、努めたいものであります。