鶴見俊輔『悼詞』からいただくもの
毎週、いや毎日という時もありますが、わが家には多くの本が届きます。
もちろん、すべて自分で頼んだもので、いずれも読みたいと思ったものです。ですが、なかなか仕事に手をとられて、積読状態になっている本が数十冊とあります。いやもう100冊を超えているかもしれません。
しかし、中には到着して封をあけて、ぱらぱらっと流し見ているうちに、気を取られ、一気にスキャンリーディングしてしまう本もあります。
僕が本を通じて、あこがれる人のお一人、鶴見俊輔さんの新著『悼詞』(とうし)が昨晩届いたのですが、やはり鶴見さんの一冊は、今朝ついつい読みふけることになりました(発行:SURE)。
同書は鶴見さんが関わりを持った125人への弔辞や追悼文を集めたものです。同書出版に関係して行われた朝日新聞の取材に対し、「他の人の知恵が自分の中に入ってるんだな、という感じを持つでんす。私は自分の才覚でやってきたように思ってるけれど、どれだけ多くの人から知恵をそそがれてきたか」と述べています(2008.10.16, 朝日新聞)。
出会い/関わりを通じてつながる知恵にここまで自覚的であり、また敬意を表し、ここまで咀嚼して活かしている知識人を私はそう多く知りません。
私たちは、多くの人と出会い、そしてかかわり合い、生きています。しかし、どれだけその一人ひとりとの関わりを大切にし、一体全体、何を交感/交換できているのか。
そのことを『悼詞』は突きつけてくれています。