「海ゴミ」

umigomi.jpg 今週末は岡山出張ということで、出張のお供に新書を一冊購入して、往復の車中でざくざくっと読みました。今回のお供は、小島あずさ・眞淳平『海ゴミ−拡大する地球環境汚染』(中公新書、2007年)。



 小島さんとは、1〜2回、NPOの関係者が集まる席でお話したことがありますが、JEAN(クリーンアップ全国事務局)の代表で、ビーチクリーンアップという活動を通じて、地球環境問題をあぶり出し、課題解決に向けて取り組まれている大先輩のお一人です。



 JEANが単なる海岸清掃やまち美化活動と一線を画しているところが、出たごみをきちんと「記録」し、調査するところにあります。同書では以下のくだりが分かりやすいでしょう。



 清掃をすれば一時的に浜辺はきれいになるものの、時がたてばまたどこかからごみがやってくる。清掃に加えて、ごみを記録し、その結果を広い範囲で集計し、共有することで、地域ごとの課題も鮮明になる。そしてなにより、調査への参加そのものが、「拾えばなんとかなる」という人々の思い込みを、「出たごみへの対策ではなく、出さないための対策こそが肝要である」との認識へと変えていく。(同書p.2)



 この一冊は、この記録と調査を伴うビーチクリーンアップの活動を通じて明らかとなった海ゴミの実態を提示しながら、なぜそうした問題が起きるのか?、どうすればこうした問題は解決に向かうのか?市民・行政・企業は何をすべきなのか?といったことを分かりやすく示してくれています。



 NPO・ボランティア活動では日々の活動の忙しさなどにかまけて「記録」を怠ることが多いのですが、それじゃダメじゃないの?と同書は私たちに問いかけてきます。活動現場をもっているからこそ調べられることを、しっかり調べ、その情報を活用した政策提言をしたり、国際的なキャンペーンをはっていかないと本当の問題解決には向かわないよ、そんな声が聞こえてきます。あぁ、耳が痛い…でも、そうですよねぇ。



 市民活動に関わる方以外にとっても、この本は多くの「ショッキングな現実」を知らせてくれる良書です。「やっぱり」と思う海ゴミもあれば、「えっ!?なんでこんなもんが海に??」と思う海ゴミも同書では出てきます。また、海ゴミが生態系にこんなにも影響をもたらしているのかと、考えさせられることもあります。



 私たちは、日々ごみを出しながら暮らしている。海のごみ問題の現状を知ることは、みずからの暮らしぶりを見つめることであり、人類の未来を見つめることでもある。私たちの生活の鏡ともいえるごみについて、海の視点から問いつづけたい。(同書p.8)



 ごみは「生活の鏡」である、この言葉、大事に心に留めおいて、暮らしたいものです。