ゆるやかに交わり方を深める

 twitterでもつぶやいていましたが、20日から22日までの二泊三日、渡嘉敷島にある国立沖縄青少年交流の家にて、「ゆるやかネットワークを作ろう」というワークショップ/キャンプに、スーパーバイザーとして参加してきました。中学生から大学生まで約40名が一堂に会し、いつもとは違うコミュニティの人々と出会い、そして交わりながら、それぞれの学生生活をどのように有意義なものにするのかを考えていくという内容です。大まかなフレームは下図の通り。



 今回のワークショップ/キャンプで参加者が経験したことは、鷲田清一(哲学者)の次の言葉を手がかりに理解することできます。

 「ひとはたしかにじぶんのことを気に病んでくるひとがいるということで、生きる力を得ることがある。見守られていると感じることで生きつづけることができる。が、しかし、ひとは他人に関心をもたれることによってのみならず、他人に関心をもつことでも生きる力を内に感じることができる。生きる力というものは、しばしば、じぶんの存在が他人の中で意味をもっていると感じるところから生まれるからである。」(鷲田清一『死なないでいる理由』角川ソフィア文庫、2008年)


 彼ら/彼女らは、いきなり出会ったばかりの人同士であるにも関わらず、自分のことを語る「自分」へ関心をもってもらうことで、自らが意味のある存在だということを肌で感じていくことになりました。そして同時に、自分が関心を示して交わることを通じて、他者が楽しみと気づきを得、自己を解き放っていくさまに触れることで、今いるコミュニティ以外の他者にとっても自らが意味のある存在だとおういうことを再び肌で感じていくことになったのです。


 つまりは、やや大層な表現ですが、こうした交わりの流れの中で、一人ひとりが「自分」の生きる意味を膨らましたり、蓄えたり、回復していった3日間であった、そう言えるのではないかと思っています。表面的に見れば、ただただ遊んで語っていただけのように見えるかもしれません。しかし、ゆるやかに交わり方を深めていく中で起こった参加者の表情や態度、動きの変化から、私は今回のキャンプが「癒し」の場であったと感じざるを得ませんでした。


 今回の場を取り仕切ったのが、18歳であったことも意味深いでしょう。もちろん、多くの大人に支えられてもいますが、彼ら/彼女らは、十分に相互に癒しあい、育みあう場そのものをつくることができるのだということを示してくれました。「これから」の彼ら/彼女らの動きに大いに期待です。こうしておかげさまで温かい気持ちをいただいて、21回目の沖縄を後にすることができました。