「40年、ぶれない軸」から学ぶ

 今日は神戸市の仕事の関係で、朝から夕方まで、説明とお願いをし続けました。その中で、真野地区まちづくり協議会にもお伺いいたしました。



 「まちづくり」の分野では、全国区で有名な神戸市長田区の「真野」。1970年代から続く住民参加のまちづくりを実現されてこられ、1980年には住民の手によって、まちづくりの20年計画が策定され、その多くが具体化/実現化されている、といったことでも分かりますが、文字通り「まちづくり先進地」です(書き出すと本当にきりがない)。



 で、現在取りまとめをされておられる方とお話をしたのですが、その方が「よく視察に来られる方が『40年も継続している秘訣は?』と聞かれるのですが、それは大事にしていることをかえていないからですよ。」と仰られ、ふむふむと興味深く伺いました。



 真野のまちづくりは、公害問題からスタートしていますが、当時のリーダーが掲げられた「社会的弱者の視点で考える」と「トップダウンをしない」、「議員にお願いしない」といった暗黙のテーゼが脈々と引き継がれているということです。



 まちづくりのみならず、多くの組織では、新しいリーダーが自らの存在価値を急いで明らかにするために、前のリーダーのやったことややり方を否定(変更)するということが見られます。



 何でもかんでも先例や昔に打ち立てたルールを後生大事に守り抜くことは確かに賢明なことではありません。しかし、まちが一体となって、ぶれない(変わらない)ものを明確に守り抜くことは、非常に重要なことでしょうね。特に、まちづくりのような、おおぜいで多様な市民が関わり、成果が出るのに時間がかかる活動であれば、なおのことかと思います。



 昨年、北九州で公害問題に取り組んだ住民運動のことを学んだ時も思いましたが、こうした(日本での)NPOの前史的な活動について、NPOの研究者/実践者(特に若手)の中であまり顧みられていないことは少しばかり残念なことです(ただし、TVACの『ネットワーク』、大阪ボランティア協会の『volo』などで取り上げられる前史的活動の記事には読み応えのあるものも多いので、参考になります)。



 歴史を知らない、ということは、実は大きな弱みになると思います。自分にできることは些細なことかもしれませんが、物語(his/her-story)をきちんと継投していきたいものです。