疑問をもつことそのものが社会変革

 今日は、ドーンセンターで学校教員対象のワークショップのファシリテーターを担当しました。「男女共同参画の視点による教材づくり」と題されたワークショップには、副題に「『地図でみる日本の女性』を活用して」と続いており、今日のテーマは「地図(今回はデータマップ)」というツールのもっている可視化の力を活かす教案と教材をつくる、というコンセプトでした。



 例えば、未婚化の統計データを地図で表現すると、地域特性(風土や文化、習慣)と結婚というところで、何らかの傾向を発見することができる(かもしれない)わけです。



 本日は『地図でみる日本の女性』の共著者である中澤高志先生(大分大学経済学部准教授)をゲストにお招きしたのですが、中澤先生のわかりやすい地図リテラシーの講義では、こうした「地図を読む」ということと、地図を教材としてつくる上で理解しておくべき基礎知識がしっかり押さえられ、「ふむふむ」と僕もしっかりお勉強。おもしろかったです。



 中澤先生から提案のあった、「地図」をつかった統計データの空間的傾向の把握から、仮説を立て、別のデータでもって検証していくという流れの地理の授業が展開されれば、僕も地理嫌いにはならなかっただろうに、と思いました。



 なお、今回の講座でも度々紹介され、同書の「種」となった『地図でみる世界の女性』(明石書店、2005年)をまとめたジョニー・シーガーの言葉には元気を与えられました。



 「年齢や学歴を問わず、どんな読者でも地図を眺めることはできるし、新しい発見があるに違いありません。あるいは新たな疑問が湧き出すことも。疑問を抱くことは、答えを見つけ出すことと同じくらい重要です。フェミニストなら誰でも知っているように、あれっ? ヘンだと思うことそのものが社会変革なのです。

 (武田祐子・木下禮子編『地図でみる日本の女性』明石書店、2007年、p.5)



 参加者の先生方が、「地図」という使いこなすには少し労力のかかるものと格闘しながら、グループで独自の教案・教材を発表されているのを最後に伺い、僕もどこかのワークショップや大学の授業で使わなあかんなと思わされました。通常、何とも思わないことについて、疑問を抱かせるには、うまく「見える」ようにすること、大事です。地図は、その時に有効なツールになりそうですね。