変わることを恐れるな

 今年も卒業式シーズン。ワイワイと盛り上がりつつ、別れを惜しんでいる卒業学生が昨日もまちなかに溢れていました。僕の後輩の数名も今年、卒業をします。大学院時代の後輩には、かなり仲のいい友人もいます。



 僕は大学を卒業して4年、大学院を修了して2年が経ちます。今でも大学時代の友人と会っていますが、よく「余り変わっていないねぇ」と昔を懐かしみながら、ある種の安心感のある関係性を味わっています。



 人間、そうやすやすと変わるものではないでしょうし、昔の関係性の延長線上で現在会っているわけですから、「私の目の前に立つ友人」が「余り変わってない」ように写るというのは至極当然です。



 しかし、それはあくまで結果論に過ぎません。



 「これからもこの関係、変わらないでいようね。」「今の夢を変わらず、きちんと胸に秘めて、会社生活に飲み困れないようにするわ。」



 卒業シーズン、こうした「変わらないでいること」を確認しあうメッセージが飛び交いがちです。しかし、言うまでもなく「変わること」には、良い変化と悪い変化があります。



 関係性は変わっていくものです。そうでなければ、退屈な関係に陥ってしまい、いつまでも昔話(のようなもの)をループするだけの関係になってしまいます。「自分の夢」や「自分のしたいこと」も変わっていくものです。私自身、毎年、「したいこと/すべきこと」の認識は変わっています。「取り組んだ仕事」と自分の間では相互作用が働き、自己革新も自己覚知も展開されます。



 さすがに大学生にでもなれば、社会に出るということのイメージが「汚い大人の仲間入り」などとは思っていないことでしょうが、社会に出て「変わること」=「良くないこと」との図式は退けるべきでしょう。



 「変わることを恐れるな。」



 そうしたメッセージを後輩には贈りたいと思います。過去の「いつかどこか」の自分ではなく、「いまここ」の自分と向かい合い続けて、しなやかに変化を楽しんで欲しいなと。変化をすることは、新しい見え方ができるようになるということでもあります。これは楽しいことでしょう。



 もちろん、常に変わらない価値観としての「信念」については、ころころと変えるべきではないでしょう。僕は大学を卒業する時、先生から「100人の人がいて99人が自分と異なる意見を言った時でも、自分の意見を貫きとおせるような信念を持て。」との言葉をもらいました。



 当たり前のことですが、何を変えて良く、何を変えてはいけないのか。その峻別に留意しなければなりません。



 変化の激しい時代だからこそ、自らを革新していく必要性の高い時代です。変化の激しい時代だからこそ、変化に振り回されない軸の必要性の高い時代です。