メメント・モリ

seitosi.jpg 最近、「死」との向き合い方を学びつつ、自らの死/生のあり方を考える教育実践の必要性を強く感じています。



 この教育実践はデス・エデュケーション(死への準備教育/生と死の教育)と呼ばれ、デーケンによれば「自分に与えられた死までの時間をどう生きるかと考えるための教育」(デーケン,アルフォンス『生と死の教育岩波書店、pp.3-4)です。 



 自らの命を心から大切にできないものが、他者の命を本当に尊重することはできないと思えば、ボランティア学習や福祉教育にデス・エデュケーションと接合されるべきでしょう。



 また、自らの「生」のあり方を考えるということは、ライフデザインを取り扱うキャリア教育にもデス・エデュケーションが接合されるべきでしょう。12月に担当した就活講座でも「死にざま/生きざま」について言及しましたが、「よく生きること」の中に「どのように働くか」という問いは包摂されているからです。



 私の母校・関西学院高等部でも現在はデス・エデュケーションが実践されています(詳しくは古田晴彦『「生と死の教育」の実践』(清水書院、2002年)をご覧ください)。既に学校現場での実践は広がっているようですが、あとは他の「○○教育/学習」とのつながりをつくる作業が求められてきているのではないでしょうか。



 なお、昨年、友人の間で寄藤文平さんの『死にカタログ』(大和書房、2005年)が話題になりましたが、死/生を考える取っ掛かりには非常に良い一冊です。



 デーケンの本を新年会に向かう電車の中で読了し、いかに生きるか、いかに死ぬのかを年始早々考えさせられました。