環境づくりこそファシリの仕事

 研修で出会った大学1年の学生さんに「ファシリテーターというのは、話を"ふる"作業をする人ですか?」と聞かれました。



 ファシリテーションの講座なり、お話をすると、どうしてもテクニックのことに関心が集まります。どうすれば、意見を引き出せるか、というテクニックです。



 関係的過程としての「プロセス」を観察しましょう、と言うと、「じゃ、黙っている人に話をふればいいですか?」と返してくる方もいます。



 テクニックを求める気持ちも、沈黙者に話をふりたくなる気持ちも、よくわかりますし、それ自体は全くの間違いではありません。



 しかし、ファシリテーターのもっとも大事な仕事は、「話したくなる/話しやすい環境」をつくることです。そうした環境づくりが行なわれなければ、いくら話をふっても、空回りしてしまいます。



 「こんなこと言ってええんやろか?」「間違ったこと言ったらどうしよう…」、そうした不安をほぐしていきながら、場の規範を変え、「安心の風土」を醸成する。同時に、「安心の風土」を形成/維持/発展させる人間関係の構築を支援する。



 こうした環境をつくることこそ、ファシリテーターの仕事だと言えるでしょう。