「第一新卒」とは何か?

 21時頃に入電。NPO業界で仲が良い小林くんから「今から家に行っていいですか?」とのこと。何事かと思えば、お仕事のご相談でした。深夜の我が家であれこれディスカッションをしながら、内部研修のプログラムデザインを詰めました。



 研修のプログラムも大枠が決まったところで、脱線トーク。その時に「第二新卒」という言葉が、学生の就職活動に何をもたらしているのか、という話になりました。



 某会社が一気に普及を進めている「第二新卒」という言葉のプレゼンスが向上していく中、どうやら「第一新卒」の意味が変わってきているようです。



 90年代後半から加速的に広がった「早期離転職」という行為が「第二新卒」という言葉のもとで市民権を得るにいたり、学生にとって「第一新卒」の就職は、「長期実践型インターンシップ」のようなものとして位置づけられていっているというのです。



 一回、社会に出てみて、とりあえず働いてみて、それから次を考える。確かにそうした考え方もありだと思います。しかし、だからといって、どこでもいいのか、といえば、そうではありません。



 寧ろ、第一新卒を(言葉は悪いですが)「踏み台」にするのであれば、「第二新卒」を見据えての「第一新卒」の就職先選択となっているのかが一層問われます。どこに向かうための「踏み台」なのか、自分が向かいたい方向の「踏み台」として適切なのか、よくよく問うべきです。



 そうした問いとの向き合いがなく、「まっ、次あるし」ということで「第一新卒」の就職が「とりあえず」的になってしまうと、「第一新卒」の仕事に対し、がっつり力を注ぐほどの意欲の高まりを味わえないままに、数年間を過ごすことになりかねません。それでは、一般に流通している「ふつーのインターンシップ」と、同レベルになってしまいます。それでよいのでしょうか。そうではないでしょう。



 「第一新卒」であろうと、「第二新卒」であろうと、「働かせてもらった場所に何を遺せたか」という問いと日々向き合うべきです。たとえ本当に小さくても、胸をはって「これが自分の遺したものやねん」って言えれば、その後の「キャリア」としても活きてくるはずです。



 同時に、その働かせてもらった場所からは、何をもらったか、そのもらったものは次にどう活かせるのか、この問いを整理できるかどうかも、キャリアデザインの営みでは重要です。



 ぜひ学生の皆さんには、「第一新卒」の働き先が「自分にとって」上記の数多くの「問い」と向き合えるだけの場と思えるかどうかは、きちんと考えて欲しいなと思います。



 ちなみに、僕は「第二新卒」よりも「第一新卒」の方が大事だと思っています。最初の会社の仕事の仕方は、その後長らく影響を及ぼすものです。だから、「いい仕事の仕方」をマスターできる会社か、ひいては、自分を磨き育ててくれる会社か、ということを、見極めないといけません。



 「第二新卒」、それ自体はまさに「再チャレンジ」の機会として、あって良いものだと思います。しかし、それは「先送り」の機会ではないはずです。「チャレンジ」をもう一度する機会です。