就活の「脱線恐怖症」

 この日の夜は、ドーンセンターのスタッフとインターン生と一緒に打合せ。就職活動中の学生を対象に、「しあわせな働きかた」をじっくりと考えるためのワークショップを12月14日に開催する予定で、そのコンセプトを磨きました(シチズンシップ共育企画は企画協力団体になっています)。



 コンセプトは「あせりの緩和」。「はやく決めないと」「出遅れないようにしなきゃ」、自らの内発的動機に基づく就職活動(働きたいからする就活)ではなく、大学や保護者、そして友人からのある種の「プレッシャー」の中で、なんともいえない「あせり」が先行してする就職活動に乗り出す、そうした時期に、そもそも「働く」とか「就職活動する」ってどういうことなんか、ということを、先輩の声に耳を傾けながら学ぶものです。



 この「あせり」は昔からあったもので、別に最近の傾向として言えるものではありません。しかし、ここ数年、大学の就職部がキャリアセンターと名前を変え、大学入学時から(「仕事」ではなく)「就職活動」を意識させ、しかも、「成功するための道筋」として様々なプログラムを提供している中で、その内実は少し変わってきていると思っています。



 学生は「用意されたレール」にのることで得られる安心感に身を浸し、同時に「用意されたレール」から(大きく)脱線することへの恐怖感をどこかに抱えているような状態になっているように思えます。社会が用意していた「レール」がなくなった、と言われた時代を経て、大学が別のレール(のようなもの)を敷設した、ということです。



 空前の売り手市場とも言われているのにも関わらず、学生がもつ「あせり」や「脱線への恐怖感」は、大学のある種の「教育」の賜物ですが、そうした「不安」を下地に据えたキャリア教育にどこか違和感を感じるのは僕だけでしょうか。



 「あせり」ばかりが先行する中で、しかも、売り手市場で内定が出やすい環境での就職活動は、「あまり考えない就職」を導き出しかねません。ミスマッチ問題の再燃は、個々人のライフデザインにとっても、各企業、ひいては日本経済全体にとってマイナスでしょう。



 僕の仲の良い後輩の多くが、今年、就職活動に突入します。今回の企画は、そうした後輩であり、親友である彼ら/彼女らにとって、「いい選択」ができるよう、ささげる企画ともなります。



 大学が敷設しているレールそれ自体が完全に否定されるわけではありません。しかし、それ以外のコース(ルート)があるということも間違いない事実です。様々なコース(ルート)の中から、自分にあった道を歩んで欲しいものです。



 講座の詳細が決まれば、またお知らせしますが、「12月14日(木)18時30分〜21時、天満橋にて」という大枠は決まっていますので、興味ある方はぜひご予定ください。当日のコーディネーターを私が務めることも、そういえば大枠として決まっています。