組織は目的共有体だ

 先日、知り合いの団体から運営相談を受けました。ある若者グループがリーダー卒業の節目に、活動衰退の危機にあるとのことでした。そこで、以下のような返信をしたためました。ご参考までに、転載しておきます。



 若者の活動の衰退は、どこでもよく見られることではあります。地域の団体でも、強いリーダーシップをもつ創立者がいなくなって一気に力がおちるということは、よくあることです。



 これは、集まっている目的が何か?の共有が、きちんとできていないということに尽きます。「きちんと」と書いたのは、単にアタマで理解するのではなく、ハートで納得する、という部分までできているか、という意味です。



 その際、「目的」がでっかくて、曖昧だと求心力が働かないので、具体的で期間を明確にした目標を持つことが、成否を分けます。例えば、「地域活性化」だと、よっぽど熱くないと、続きません。「そのために●●をして、地域を〜〜にしよう」となるから、イメージが分かちもたれるのです。 イメージが分かちもたれるから、どれだけ頑張らなあかんのかも共有されていくわけです。



 結局、わいわいがやがやする、とか、仲間をつくる、という部分が目的になっていると、仲間関係ができあがってしまったとたんに、「別にこの活動じゃなくてもええんちゃうか」という雰囲気が、グループ内に蔓延してしまいます。創立リーダーがいる時は、その雰囲気に釘をさしたり、創立者ならではの強い思いが、悪い雰囲気の蔓延への堤防になります。なので、創立者がいなくなると、堤防決壊でグループ崩壊となるわけです。



 もちろん、目的を明確化させる、といったからといって、グループを時限プロジェクトに解体して、プロジェクトごとに組織をつくってこわしてとしなくても構いません。組織としての大きな目的を達成させるために、今年は/半年は/今月は何をするのか、の目標を明確にしていくだけで、ぐっと求心力はつくられていきます。



 ただし、目的の共有や目標をつくる作業で、メンバーの声を聞き、地域の人の声を聞き、それぞれの思いを重ね合わせていくことがなければ、グループの再活性化はなしえません。間違っても、リーダーの思いの押し付けはしてはいけません。リーダーの「わたしの思い」を伝えるのではなく「わたしちの思い」をつくる作業がなければ、目標はノルマになります。



 日常的に、メンバーのモチベーションを高めるために、コミュニケーションの機会を多く丁寧にとることもまた、当然に必要となっていきます。



 しかし、そのコミュニケーションで何が話し合われるのかが大事です。単にお酒を一緒に飲んでいるだけではなく、お互いの活動への思いを分かち合いながら、意識を高めていくような場にならないと、意味がありません。



 組織は目的共有体です。どういう目的が共有されているのか、共有されている目的は、果たして共感性の高いものか。そうしたところを再点検されてはいかがでしょうか。