NPO=NPO法人という誤解

 1998年に特定非営利活動促進法が施行され、NPOが法人格を持てるようになって7年。現在、日本には2万を越える特定非営利活動法人NPO法人)があります(2006年9月末段階で23073法人)。実に、全国の小学校の数(2005年度は23124校・国公私立全て含む)に匹敵する団体数です。



 私もたまに「NPOとは何か?」という講義を大学等ですることがあるのですが(レジュメはこちら参照)、必ず添えているのは、「NPO法人だけがNPOではありません。」ということです。



 NPOは、今更ながらに、確認しておけば、「Non Profit Organization」ですから、営利を目的とせずに市民公益活動に取り組む組織全ての総称ですから、ASJIIHOE公益・非営利支援センター東京、そしてシチズンシップ共育企画のような任意団体も含まれます。(他に、私が必ず言い添えていることは、「阪神・淡路大震災以前にも日本にはNPOがあった。」ということです。新しい社会運動論の考えを踏まえないNPO論はありえないと考えています)。



 このように、「NPO=NPO法人」という誤解があるとよく言われたのは、NPO法人でなければNPOではないという誤解を正すためのものでした。



 しかし、最近になって、この「NPO=NPO法人」の誤解について、新たに付け加えていることがあります。「NPO法人であってもNPOとは限らない。」ということです。これまでは、NPOという概念の中にNPO法人が包摂されるものであることを指摘してきたわけですが、2万法人を越えるに至っているNPO法人の中には、NPOとは到底呼ぶことのできない代物も混じってきているのが実情であり、簡単に包摂関係で述べるには、少し無理が出てきています。



 つまり、(至極当然のことなのですが)法人格の有無で左右されることなく、「活動内容」でもって、NPOかどうかは判断すべきだということです。川北さん は、NPOの要件として、(1)民間、(2)活動、(3)組織、(4)公益、(5)非営利の5項目を挙げています。私見ですが、この内、(4)の公益性にもっと注目すべきだなと思っています。共益団体ではなく、公益団体であるということが、NPO法人には求められるべきはずですから。



 ちなみに、NPO法人を隠れ蓑にする悪徳業者の問題から、行政はNPO法人の認証/監督をもっと厳しくすべきではないかという議論がありますが、これはNPO法の制定趣旨に反する議論です。



 NPO法が画期的であったのは、何をもって公益(公共)団体とするかの判断を、行政が行うのではなく、万機公論に帰すべし、としたところです。NPO法人が行う情報公開に基づき、市民がそのNPO法人NPOとして相応しいかどうかを判断するという行為が想定されているのです。NPO市民的公共性市民社会)の器であることを考えれば、これまた当然のことです。隠れ蓑NPOは、市民によって監督され、取り除いていくしかないわけです。



 何にしても、「お上」や他者に判断を委ねるのではなく、市民が自ら判断をして選択をする、という文化を育んでいかねばならないなぁと、NPO法人の厳正化議論を新聞等で読む度に思わされます。(地域の中間支援組織は、そのためにも、NPOの分かりやすい情報公開を促し、また市民にそれをチェックしてもらえるような仕掛けを展開することが求められるはずです)