にじみでるスタイル

 このブログでもお知らせした、シチズンシップ共育企画(骨太教員養成プロジェクト)主催のコミュニケーションスキルアップ講座で行われた「いろんな聴き方」という実習でのこと。


 「いろんな聴き方」の実習では、聞き手の方に対して「こういうふうに聴いてください」という指示がファシリテーターから出されます。ですので、会場を見渡すと聞き手は一様に同じ聴き方をしているように見えます。しかし、よく個々人を見ると、その場で起こっていることは「違う」ことに気がつきます。ひとつの「型」があるが故に、微細な違いがより目立つことになります。


 例えば、「相手が感じている気持ちを言葉にして返してみる」という指示でも、「気持ち」というものを表現することに慣れているかいないか、その言葉の出しかたに違いを見ることができます。また、どの程度返すかどうかという間合いの取り方やどんなボディランゲージを添えて言葉にするかといったところなども含め、様々な違いが見られます。


 そこで「にじみでる」ものは、その人のコミュニケーションスタイルの特徴をよく現してるものの一つのように見受けられました。自由にやりとりするのではなく、「型」に基づくやりとりにも関わらず、それでも滲み出てしまうものは、非常に示唆深いデータではないかなと思います。時折実際に置いてみますが、オブザーバー(観察役)がいれば、そうした情報に関する提供(フィードバック)がなされ得る可能性が多くなります(話し手からFBされることもあります)。こうした「微かな違い」にフォーカスしたやりとりを敢えて行ってみると、面白い気づきが得られることになるかもしれません。一度、実験的にやってみたいものです。


 もちろん、その場で「にじみでた」ものは、ある一つの関係性の相手に対して、ある一つの非日常な場において、ある状態での私から出たものに過ぎず、すぐさま普遍化できるものではありません。しかし、そのことを指摘された時に、「あぁやはり…」と日常の他のいくつかの場面ともつながるようなものも出てくることでしょう。


 2010年は、「コミュニケーション」や「対人関係」にまつわるワークショップを行う機会が増えそうです。既存のナレッジに磨きをかけ続けながら、いい場を創っていきたいものですし、その中で私自身にも気づいていければと思います。