「剣はペンよりも強し」でええんか!?

 先月中旬から昨日までの講師・ファシリテーターお仕事について、シチズンシップ共育企画のサイトで報告していますので、ご覧ください。



 先月、終わった甲南女子大学の授業の中で、「どのようにすればNPOは市民の信頼を得られるか?」といった問いを出したところ、「お金の流れをわかりやすく教えて!(特に支出部分)」と「企画の参加者募集だけではなく実施報告を!」という声が多かったのが、印象的でした。きちんと「報告」をしていく団体に整えていきたいものです(07年度のお金の流れについては決算をウェブで報告します)。



 さて、この間、非常に気になる出来事が2つありました。一つは、つくばみらい市でDV防止法に関する講演会がDV防止法反対派の抗議行動により中止に追い込まれた出来事。もう一つは、右翼団体の街宣活動等によりグランドプリンスホテル新高輪日教組の教研大会全体会の会場使用を拒否した出来事です。



 DV防止法、日教組教研大会の内容どうこう以前に、示威行動含めた「暴力」によって、言論の自由や集会の自由が圧殺されたということ事体に深い憤りを覚えます。私はDV防止法を支持する立場ですが、たとえ反対派が盛大に講演会をしようとも、そのことを「暴力」行為によって制止することはないでしょう。



 より深刻なのは、グランドプリンスホテル新高輪で、地裁・高裁による司法判断を無視してまでも使用を拒否しました。法治国家において、ここまで司法判断が軽んじられることがあって良いわけがありません。



 「暴力」によって言論を押さえつけたという今回の事態は、戦前の軍部による言論統制と同じ構図といって過言ではないでしょう。もちろん、いつの時代にあっても言論の自由を脅かす行為は存在するものですが、行政や企業が屈服しているというところに、危機感を抱きます。



 言論は多様であるべきですし、だからこそ、言論空間/公共圏は豊かになるわけですが、言論のたたかいは討議によってなされるべきであり、今回のような「暴力」を用いて行なわれるべきものではありません。



 にもかかわらず、こうした「言論の自由/集会の自由」が侵害されている案件を前にした時の社会の鈍い反応をみると危機感は増すばかりです。ややこしい言論討議の場に「まきこまれないように」するという、立ち位置を多数がとることは、結果としてプレゼンスを大きくみせる「暴力」が幅を利かす社会へと展開し、「剣はペンよりも強し」の社会を構築していくことになるのではないかと思います。



 こうして、まるで対岸の火事かのように「他人事」としてしまっていると、気がついた時には、既に火に囲まれてしまっていた、ということにならないよう、こうした言論を巡るテロルについて、よくよく注視したいものです。