1週間で5本

 研修シーズンが始まっていることを味わった一週間でした。1つの会議進行と、4つの研修講師(計5日間)があり、何かとドタバタしていました。



 あれこれ詰め込んだ重たい鞄をあちこちの出張で持ち歩いたせいか、激しい腰痛に襲われています(汗)。まっすぐ背中をのばして歩くのが至難の業で、いやはや困ったものです。



 研修の報告についてはシチズンシップ共育企画のサイトにて行なっておりますので、ご覧いただければと思います。今年は「企画づくり」の講座が多いです。



 さて、そんな出張の合間にリフレッシュとなるのが、「読書」や「映画鑑賞(といってもDVDですが)」です。学術書も含めて何冊か読んだのですが、興味深く読ませてもらったのが、杉山文野さんの『ダブルハッピネス』(講談社、2006年)。身体の性別は女性だけど、自認する性別は男性という性同一性障害(Gender Identity Disorder)の方のライフヒストリーです。



 生きてきた年数×365回以上、自分の裸を見ているけれど、いまだにこの体が自分のものだというのが信じられない、信じられないというよりも不思議といったほうがいいかもしれない。「女体の着ぐるみ」もしくは「女体スーツ」を身につけているとしか思えないのだ。他人の裸を見ているような感覚に陥ってしまう。(中略)

 いったい僕は何者なのか?鏡を見るたびに、鏡の向こうに映る僕に問いかける。「お前は誰なんだ?」
(同書、p.92)



 こうしたライフヒストリーを読むことで、自分の無知や想像力のレベルの低さを痛感させられます。もっと多様な社会のありようを理解しなければなと。同書には「日本という国はマイノリティ(少数派)に対して「あえて攻撃もしあいが、存在も認めない」というやりかたで接してきたと僕は思っている」(同書、p.164)とあります。非常に示唆深い指摘だと思います。



 現在はメインストリームにおいても「共生社会の実現」が唱えられていますが、そこで唱えられているコンセプトがマイノリティの視点からデザインされたものであるのかどうか、よくよく吟味していきたいものです。