出会わせ方を変える

 16日・17日とひょうごボランタリープラザ主催の企画づくりの研修のファシリテートを担当しました。1日目は、事例発表者として神戸市の長田区ボランティアセンターの長谷部さんをお迎えしてのセッションであったのですが、やはり研修は複数講師がいいですね。講師にとっても学びになりますし、参加者にとっても色んな見方と出会える契機になります。



 今回、長谷部さんからは、コミュニティワークの企画の一例として、総合的な学習の時間と福祉教育やキャリア教育の融合するところで展開されたプログラムをご発表いただいたのですが、その話の中で興味深かったことの一つが、「障がい者障がい者として紹介しない」というところでした。



 同プログラムでは、作業所で働く知的障がい者の方が小学校に出向いて(普段作業所でしておられる)染め物を教える時間があるのですが、子ども達には「障がい者」ということを全く伝えずに「染め物の先生」として伝えるというのです。「障がい者」として出会わせると、そういう目でしか、その方を見れなくなってしまい、関係性がひらかれない、とのお考えです。



 実際にその授業では、子どもにとって「染め物の先生」であるわけですから、至極当然なことなのですが、実際はこうした出会わせ方ができているのは稀ではないでしょうか。



 出会わせ方を変えることで、関係性も変わっていきます。「あわれむ側/あわれまれる側」という構図の関係性をつくりやすい出会わせ方ではなく、「おもろいこと知ってはる人」として登場してくることで、もっとフラットで学び合う/教え合うコミュニケーションが起こる関係性が生じる出会わせ方を実現させておられるわけです。



 コミュニケーションのエコノミーのために設けられる「カテゴリー」というものを無視することは、コミュニケーションの複雑化を惹起し、予測不可能性が高まります。もしかしたら、「えっ!?そんなこと言っちゃうの〜」ということを子どもが言うかもしれません。しかし、それが「生きたコミュニケーション」でしょう。そこから展開される交流こそ、「生きた交わり」であって、子どもからすれば「リアルな交わり」でしょう。



 出会わせ方を変える。これは、色々なところで応用できる考え方のように思います。自分も教育の場をもっともっと予定調和の世界や定番の世界から解放して、豊かな出会いと交わりが起こる場にしていきたいものです。



 ちなみに、18日は神戸市社会福祉協議会の研修で「ネットワークのつくり方と活かし方」をテーマに自分が話題提供者になりました。この研修では、他の方のファシリテートの中で発表したのですが、自分とは違うファシリテーションのスタイルで、これもまた勉強になりました。複数講師はやはり面白い!