アートな週末を過ごす

bien.jpg この週末はアートを満喫した2日間でした。土曜日は、平田オリザさん率いる青年団の演劇「ソウル市民」「ソウル市民1919」シチズンシップ共育企画のメンバー有志と一緒に鑑賞。日曜日は、中学時代からの友人と一緒に神戸ビエンナーレへ足を運びました。



 『対話のレッスン』や『芸術立国論』などを発表され、「演劇」を通じたコミュニケーションの教育ワークショップを提唱される平田さんのことは、これまで幾度となく参照したことがありますが、平田さんの演劇を観るのは初めてのことでした。



 演劇を貫くテーマというのは明確にないのですが、植民地化のソウルを舞台にしているということから、植民地における支配層の日常の滑稽さや、そこから転じるある種の「怖さ」、日常のコミュニケーションの中で起こる輻輳の不思議さなど、色々なことを感じさせられた二作でしたが、それは「過去」のものであったり、「演劇上」のものだけに留まらないものであるように思えました。主題や場所が変わっても相似形のものが、自らの日常の中にもあるのではないかと。



 これはあくまで僕の受けたものですが、観る者の「コミュニケーションの鏡」のようなもので、我々が意識できていない日常のコミュニケーションの中の滑稽さ/不気味さ/不可思議さを映し出し、突きつけてくる(意識化させてくる)ような感覚を受けました。一つのグループが空間を同じにしていても、交差する人間関係が横たわることで、全然別の話が同時並行で進んでいることの奇妙さなどは、テレビドラマや映画などでは行なわれない「現代口語演劇独特の文法」ゆえに、より顕著に感じられたのでしょう。



 自分で演劇づくりをしたら、もっと色んなことに気づいて(時に傷つきつつも)、面白いだろうなと思いました。これからのワークショップで活かしていきたいものです。



 ビエンナーレは、「コンテナ」というある種の額縁をどのように活かすか、という制約の中の創造性の発揮が興味深かったですね。友人が現代アートについて少し解説をしてくれたことで、楽しみ方が広がりました。現代アートですから「えっ?これ何??」というものが多いでしょうが、ちょっと前知識を入れておくと楽しめます。



 ちなみに、ビエンナーレ出展作品の中には、自分が非常勤で担当している甲南女子大学の「NGO論B」の受講生の学生数名が制作を手伝ったものもあります。ひいき目かもしれませんが、僕はそれが一番、良かったです。「それどんなん?ってか、どれ?」と思われた方、ぜひ行ってみて想像してみてください。



 アート&デザインにびっちり触れ続け、講座/研修のなかった折角の週末にいい頭の柔軟体操をして過ごせました。