ライフデザインとキャリアデザイン

 最近、就職活動が気になりだしている学生さんと話をする機会があったのですが、その時に特に強調したのは「キャリアデザイン」の前に「ライフデザイン」が重要である、ということでした。



 どういうキャリアパスを描きたいのかということを考えて、就職活動をすることが大事なことは言うまでもありませんが、人間は仕事だけをしているわけではありません。どういう人生を生きたいのか、どのように人々に記憶されて世を去っていきたいか、といったデザインがあって、その中で仕事というものをどう位置づけるのかを考えなければ、結局は満足いく仕事と出会えないように思います。



 なお、この考え方は少し難しいかもしれませんが、思い通りの仕事につけなくても、自分の生きたい人生を生きることは不可能ではない、ということも、含意しうる考え方だと思っています。



 こうした考えを自分が持つようになったのは、高等部時代に読んだ内村鑑三『後世への最大遺物』岩波文庫、1976年)の影響です。ぜひぜひご一読を。

  

 

 そういえば、先日参加したある集まりで次のような言葉を伺いました。「最近、ある経験があって、この仕事で生きていこうと思うようになりました。これまでは、この仕事で食っていこうと思っていたのですが。」



 この仕事で生きていく、という表現には、上記のようなライフデザインの中でのキャリアデザイン、といった考え方がうまく出ているように思います。